瀬戸内オリーブ園は香川県坂出市の海辺に展開する広大なオリーブ園((株)瀬戸内オリーブ)です。近代的な育成・管理方式を採用して上質なオリーブオイルを提供するとともに、絶えず研究開発を続け、オリーブを核にした複合化農業を目指しています。

研究開発

オリーブ栽培に関しては全くの素人集団であった株式会社瀬戸内オリーブ(瀬戸内オリーブ園)は開設以来6年目、多くの先輩たちのご協力も頂きながら、思い切った自動化と育成管理の創意工夫によって何とかオリーブ園としての形態を整えるまでに成長してきました。しかし、オリーブ栽培に関する慣習的な事柄を含めて知識と経験の不足は如何ともし難く、基本的な知識の習得の必要性を痛感しているところです。平成27年度からは、オリーブ栽培をビジネス展開していくと言う視点から幾つかの課題を設定し、その解決のための実証実験に挑戦することにしました。十分な成果が得られるのは数年先になるとは思いますが、取り敢えず、以下に列記するようなテーマについて行動を開始しております。興味のある方、一緒に行動してみたいと思う方がおられましたらご一報ください。



研究開発テーマ(1)

テーマ:新生子豚哺乳補助機(養豚ロボット)の哺乳部に関する実証研究

1)目的
養豚業界において積年の願望である新生小豚の安全で有効な飼育を目的とした“新生小豚哺乳補助機(新生養豚ロボット)の研究・開発”による生産性向上と養豚プロセスでの技術イノベーションを目指すものである。近年では、母豚が1回に出産する新生小豚の頭数が多くなったことがその必要性を大きくしている。本研究開発はオリーブ絞り粕の有効利用(飼料)を目的にオリーブ生産者と養豚業者との話し合い(異業種交流会)の中から発生したテーマである。
2)基本理念
基本理念を要約すると以下の3点になる。
  • (1)母豚が分娩した生命(新生子豚)の損耗率を最小にすると共に安全で効率的な飼育によって養豚業界の収益率向上に貢献する。 分娩後、母豚が産後熱などの病気になった場合、何らかの理由で母乳が出ない場合や産子頭数が母豚の乳頭数よりも多い場合などに採られている“里子哺育法”の革新的な改革を図る。具体的には、20〜30%と言われている圧死や下痢などを含めて新生子豚の損耗率を限りなく0%に近づけることによって新しい養豚ビジネスの確立を図る。
  • (2)母豚の保育ストレスを減少させ、生産性の向上を図る。
    1年に何回もの出産をする母豚にとって新生小豚の哺乳保育は大きなストレスになる。母乳による母体の消耗を防ぐことによって母豚の交配間隔を早め、効率的な生産を図る。
  • (3)養豚業界のイノベーションを目指す。
    安全で効率的な人工哺乳による新生子豚の新しい育成法の実用化と新しい産業分野への展開

研究開発テーマ(2)

テーマ:オリーブ葉の成分および抗酸化性の経時変化について

1)目的
オリーブ葉は高濃度のポリフェノール成分を含有することから、多くの関係者がそれぞれの目的の下に活用分野を模索してきた経緯があり、現在では様々な加工食品への添加剤として使用されるようになり、その用途はますます拡大していると言っても過言ではない。食品加工品として使用する場合には、加熱処理を始めとする種々の加工処理が行われることが多い。こうした加工処理過程がポリフェノール成分の変化に与える影響度を示す検討結果が最近公表された1)。しかし、オリーブ葉を魚類や家畜に与える飼料として用いる場合には生のまま乾燥、粉砕して使用することになる。この場合にも、当然ながら、残留農薬量とポリフェノール成分の含有量が問題になる。基準値の是非論は別に置くとして、一定の値以上の残留農薬量が検出させる場合には飼料として使用できないことは言うまでもない。現実問題として、現在、残留農薬を化学的に分析・計測するのに2〜3週間の時間を要している。検査結果が明らかになるまでオリーブ葉の加工処理が出来ないことになる。その結果、限られた資源であるオリーブ葉は残留農薬の検査結果が得られるまで間自然環境の中に置かれることになる。こうした状況の中、自然環境の中に置かれた日数によりポリフェノール成分が太陽光などによって減少するのではないかとの課題が提起されている。抗酸化性の変化についても疑問が呈されている。これらの疑問に対する化学的に信頼のおけるデータは皆無である。 本研究開発では、剪定によって得られたオリーブ葉を1週間、2週間、3週間、4週間と自然環境の中に置かれた状態でポリフェノール成分と抗酸化性がどのように変化していくのかについて化学的に分析・計測しようとするものである。こうした化学分析結果は、オリーブ葉を効果的に利用していく上での基礎データとして必須である。
3)基本理念
  • (1)本実験で用いるオリーブ葉は剪定枝である。自然環境の中、同じ条件下で保管したオリーブ葉の中から分析・計測に必要な量を専門の分析機関に持ち込み実験を行う。剪定枝を水に浸す等の保管方法も考えられたが、現実問題として、自然環境の中で保持することとする。
  • (2)検体はミッション、ルッカ、ネバディロブランコ、コレッジョラ、チプレッシーノといった5種類の品種毎に常温で保管された剪定枝の中から、剪定直後、1週間経過、2週間経過、3週間経過、4週間経過毎に分析に必要な量を取りだし、同じ条件の下に分析を行うこととする。
  • (3)分析方法は、経時変化毎のオリーブ葉を凍結乾燥後に粉砕したものを分析用試料として以下の分析を実施する。
    • ①ポリフェノール分析
      分析用試料約1gを80%メタノール溶液20mlで20分間振とう抽出を行ったあと濾別し、50mlに定容した抽出液を総ポリフェノール量の測定およびHPLC法によるポリフェノール成分の分析に供した。
    • ②抗酸化性測定
      抗酸化性の測定にはORAC法を用いた。分析用試料1gを高速溶媒抽出装置ACE-350(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社製)を用いてn−ヘキサン/ジクロロメタン(1:1)混液およびアセトン/水/酢酸(700:295:5)混液(以下、AWA)で抽出し、そのAWA抽出液のRAC値で評価を行った。

研究開発テーマ(3)

テーマ:オリーブ葉の粉砕機機能向上に関する研究・開発

穀類等の利用に際しては、一定の含水量まで乾燥した後、粉砕機を用いて粉体にする方法が多くの場合用いられている。これらの産業規模は一般に大きく、機器も大型であることが多い。オリーブ産業の6次産業化では導入する事が難しい。加えて、小ロットの品物に対して粉砕の精度をニーズに応じて自由に替えることが難しい。本研究開発は乾燥オリーブ葉の粉砕を目的に粉砕精度の自動調節精度を有した小型で安価な粉砕機を新たに開発するものである。高齢化社会が進展する中で、食物の粉体化が進む(粉文化の進展)ことが予測されている。素材の乾燥⇒粉砕⇒成形⇒食物といったプロセスの中で必須の機器である。オリーブ産業の複合化だけに止まらず応用範囲は極めて広い。
2)基本理念
本研究開発の基本理念を要約すると以下の3点である。あくまでも小ロットの農産物を6次産業化を試行する際に利用する事を想定する。
  • (1)3〜5段階の粉砕精度が自動調節できる。
  • (2)小型で安価である。
  • (3)乾燥機、粉砕機、計量器(保管用袋詰)が一連のシステムとして稼働する。

研究開発テーマ(4)

テーマ:オリーブオイルろ過作業工程の自動化に関する実証実験

国産エキストラ・バージン・オリーブオイルは美味しいが高価であるとの評価が定着しつつある。需要量に対する供給量の増大とコストの低減は国産エキストラ・バージン・オリーブオイルの緊急の課題であると言っても過言ではない。コスト面では搾油から濾過、瓶詰のプロセスで約半分を占めていることが判っている。伝統的な方法として踏襲されている自然濾過方法は一見安価な方法に見えるが時間と人手を要する上にオリーブオイルが変質する危険性を含んでいる。効率的な濾過の方法はオリーブ産業界の夢でもある。本研究開発はオリーブ果実の搾油作業から濾過作業、瓶詰作業の工程をシステムとして組上げて自動化しようとするものである。①短時間ろ過作業の実現と②搾油機と一体化したろ過機能の開発によって“国産オリーブの単価低減”が可能になる。
2)基本理念
  • ①現状では、搾油機機能の向上により、収穫から搾油までの時間が12時間以内の可能になってきた。しかし、現状では、伝統的・慣習的に搾油後のオリーブオイルは自然ろ過が圧倒的に多いことから、長時間にわたってオリーブオイルが外気に接する機会があり、臭いの付加や品質の劣化を招く可能性が生じる。国産オリーブオイルの品質管レベルを高める。
  • ③ろ過作業工程を搾油工程と瓶詰工程に直結して完全自動化する。
  • ④最も時間と労力、経験を要した作業工程を自動化・省力化・省人化することによってオリーブオイルの安価化を図る。
  • ⑤500kgのオリーブ果実を収穫から瓶詰までの工程を12時間以内に処理できるようにし、オリーブオイルの商品化を大幅に短略化する。結果として、コストの安価化に繋げる。